ローカルベンチマーク研修で学んだ|中小企業支援は分析より「対話」が重要だった

中小企業診断士の仕事を実際に見てみたかった

先日、経営指導員向けに実施された「ローカルベンチマーク基礎研修」を受講しました。

テーマは、企業の強みを見える化し、経営課題の解決につなげるための支援手法についてです。

今回、私がこの研修を受講しようと思った理由は、中小企業診断士の方が実際にどのような支援をしているのか見てみたかったからです。

私は現在、中小企業診断士の資格取得に向けて学習を続けています。

勉強を続ける中で、

  • 診断士は実際にどんな場面で知識を使うのか
  • 支援の現場では何が求められるのか
  • 自分は将来どのような支援者になりたいのか

こうしたことを考える機会が増えました。

今回の研修は、自分の将来像をより具体的にイメージする良い機会になると思い参加しました。

ローカルベンチマーク(ロカベン)とは何か

ローカルベンチマーク(通称ロカベン)は、企業の経営状態を把握するためのツールです。

財務情報だけでは見えにくい企業の実態を、非財務情報も含めて整理し、企業の強みや課題を見える化していきます。

ロカベンでは、主に以下の4つの観点から企業を見ていきます。

  • 経営者
  • 事業
  • 外部環境・関係者
  • 内部管理体制

こうして見ると、診断士試験で学ぶ内容とかなり重なっています。

実際、研修内容の随所で、

  • 強み分析
  • 差別化
  • 外部環境分析
  • 課題設定

といった、試験勉強で何度も見てきた考え方が登場しました。

その意味でも、自分にとって非常に良い復習になりました。

しかし、本当に重要だったのは「分析」ではなかった

研修を受けて、最も印象に残ったことがあります。

それは、

中小企業支援において本当に重要なのは、分析そのものではなく「対話」だということです。

受講前の私は、

  • 財務分析をする
  • フレームワークで整理する
  • 課題を特定する

こうした分析力こそが支援の中心だと思っていました。

もちろん、それらも重要です。

しかし今回の研修では、それ以前にもっと大事なものがあると学びました。

それが、

経営者との対話と傾聴です。

「議論」ではなく「対話」が必要だった

研修では、「議論」と「対話」の違いについて説明がありました。

議論(ディスカッション)は、何かを決めるためのものです。

一方、対話(ダイアローグ)は、情報や考えを共有し、理解を深めるためのものです。

支援者が経営者と向き合うとき、いきなり結論を出そうとしてはいけません。

まず必要なのは、

  • 話を遮らない
  • 相手を否定しない
  • 安心して話せる空気を作る

こうした姿勢です。

つまり、

正しい助言をする前に、相手が本音を話せる環境を作る必要がある。

この考え方は非常に印象的でした。

表面的な課題を、そのまま受け取ってはいけない

もう一つ印象的だったのが、課題設定の考え方です。

例えば、経営者から次のような相談があったとします。

資金繰りが厳しいです。

この言葉だけを見ると、課題は資金繰りに見えます。

しかし、本当にそうでしょうか。

支援者は、ここで「なぜ?」を重ねていきます。

  • なぜ資金繰りが厳しいのか
  • なぜ売上が落ちているのか
  • なぜ顧客が減っているのか
  • なぜ選ばれなくなったのか

こうして深掘りしていくことで、初めて本当の課題が見えてきます。

つまり、

表面的な症状と、本質的な課題は違う。

この視点は、中小企業診断士の2次試験にも通じるものがあると感じました。

最近は、知識を増やすだけでなく、「その知識を何のために使うのか」を考えるようになりました。

資格取得そのものが目的になっていた時期については、こちらの記事でも書いています。
資格取得が目的になっていた|5年間の診断士学習で考えるようになったこと

商工会議所で働く中でも感じていたこと

今回の研修内容を聞いていて、日頃の業務で感じていたことと重なる部分がありました。

商工会議所で働いていると、日々さまざまな相談を受けます。

その中で感じるのは、知識があることはもちろん大切ですが、それ以上に大切なことがあるということです。

それは、

相談に来られた方に寄り添い、親身になって耳を傾けることです。

相手の話をしっかり聞く。

途中で遮らない。

否定せず、まず受け止める。

そうした姿勢があるからこそ、少しずつ信頼関係が生まれていくのだと思います。

そして、信頼関係ができて初めて、こちらの知識や提案が活きてくる。

今回の研修を通じて、その考えがより明確になりました。

どれだけ知識があっても、信頼されていなければ相手には届きません。

逆に、信頼関係があれば、提案や助言も前向きに受け止めてもらいやすくなります。

試験勉強は、決して無駄ではなかった

今回の研修を通じて、改めて感じたことがあります。

それは、

中小企業診断士の勉強は、単なる試験勉強ではなかった
ということです。

勉強中は、どうしても

  • 覚える
  • 解く
  • 点を取る

という意識が強くなります。

私自身もそうです。

しかし実際の現場では、知識をそのまま使うわけではありません。

必要なのは、

  • 相手の話を聞く力
  • 情報を整理する力
  • 本質的な課題を見抜く力

でした。

そして、その土台として試験勉強で学んだ知識がある。

そう考えると、日々の学習の意味がより明確になった気がします。

まとめ|「あなたに相談してよかった」と思われる経営指導員を目指して

今回のローカルベンチマーク研修で学んだことを、一言でまとめるならこうです。

良い支援は、良い対話から始まる。

どれだけ優れた分析手法を知っていても、良い情報が得られなければ意味がありません。

そして、良い情報は信頼関係のある対話の中で生まれます。

今回の研修を通じて、中小企業診断士という仕事を、以前より具体的にイメージできるようになりました。

また、自分が今取り組んでいる学習が、将来の実務につながっていることも実感できました。

経営指導員として、私が目指したいのは、

「あなたに相談してよかった」
「これからも長く付き合っていきたい」

そう思ってもらえる職員です。

知識を身につけることは大切です。

しかし、その知識を活かすためには、まず信頼される存在でなければならない。

今回の研修で、そのことを改めて学びました。

これからも資格取得だけをゴールにするのではなく、

学んだ知識を、どう現場で活かすか。

そんな視点を持ちながら、学びを続けていきたいと思います。