簿記1級の過去問が怖かった|8か月インプットばかりだった私の失敗談

資格勉強の失敗談

簿記1級の勉強を始めて8か月ほど経った頃のことです。

私は、過去問を開くのが怖くなっていました。

問題文の意味は分かる。

どの論点なのかも、何となく分かる。

それなのに、答案用紙を前にすると手が止まってしまうのです。

何を書けばいいのか分からない。

どこから手を付ければいいのかも分からない。

そんな状態だったため、私は次第に過去問を避けるようになっていました。

当時の私は、簿記1級の勉強を頑張っているつもりでした。

  • テキストを読む
  • 講義動画を見る
  • ノートにまとめる

「まずは理解しないといけない。」

そう考えて、インプット中心の学習を続けていました。

しかし今振り返ると、本当に避けていたのは過去問そのものではありません。

「解けない現実」と向き合うことを避けていたのだと思います。

この記事では、簿記1級を約8か月勉強しながらもインプット中心から抜け出せなかった私の経験と、なぜ過去問が怖かったのか、そしてその後どのように考え方が変わったのかをお話しします。

8か月勉強したのに、本試験では30点前後しか取れなかった

私は簿記1級の勉強を約8か月続けていました。

勉強時間そのものは、決して少なくなかったと思います。

  • テキストを何周も読む
  • 講義動画を見る
  • 苦手論点をまとめ直す

毎日のように机へ向かい、「今日は勉強できた」という感覚もありました。

そのため、自分では少しずつ実力がついていると思っていたのです。

しかし、本試験では思うように点数が取れませんでした。

正確な点数は覚えていませんが、合計で30点前後だったと思います。

問題文の意味は分かります。

どの論点なのかも分かります。

それでも、答案を書き始めることができませんでした。

その時、私はようやく気づきました。

「理解している」と「解ける」は、まったく別の力だったのです。

過去問が怖くて、9か月近くほとんど触れなかった

実は、私は試験のかなり前から過去問を購入していました。

初めて手にしたのは、本試験のおよそ9か月前です。

つまり、過去問に取り組む時間は十分にありました。

それでも私は、ほとんど手を付けませんでした。

理由はとてもシンプルです。

解けなかったからです。

過去問を開くたびに、自分の実力不足を突きつけられるような気がしました。

「まだ理解が足りない。」

「もう少しテキストを読んでからにしよう。」

そう自分に言い聞かせて、またインプットへ戻る。

その繰り返しでした。

今思えば、「準備ができてから過去問に取り組もう」と考えていたのですが、その「準備ができた」と思える日は最後まで来ませんでした。

インプットは、安心できる勉強だった

今振り返ると、私がインプットばかり続けていた理由は、「理解したかったから」だけではなかったように思います。

インプットは、自分が勉強している実感を得やすい学習だったからです。

テキストを読む。

講義動画を見る。

ノートをまとめる。

どれも「今日は勉強した」という満足感があります。

一方で、過去問は違いました。

解けない。

時間内に終わらない。

点数も取れない。

つまり、自分に足りないものがはっきりと見えてしまいます。

だから私は、無意識のうちに安心できるインプットへ戻っていたのだと思います。

勉強を避けていたわけではありません。

ただ、「できない自分」を見ることから逃げていました。

初めて本格的に過去問へ向き合った時、何も書けなかった

今でもよく覚えています。

初めて本格的に過去問へ取り組んだ日のことです。

問題文を読めば、何を問われているのかは理解できます。

しかし、その先が全く分かりませんでした。

  • どこから着手するのか
  • 何を計算すればいいのか
  • どの順番で解けばいいのか

何も思い浮かばなかったのです。

結果として、答案用紙にはほとんど何も書けませんでした。

当時は、「まだ知識が足りないんだ」と思っていました。

しかし今振り返ると、違いました。

知識が足りなかったのではありません。

知識を使って問題を解く訓練をしてこなかっただけだったのです。

私が過去問を怖いと感じていた本当の理由

さらに振り返ると、私が怖かったのは過去問そのものではありませんでした。

「自分で考えなければならないこと」が怖かったのです。

テキストでは、順番に説明してくれます。

講義動画でも、講師が考え方を教えてくれます。

しかし過去問では違います。

何を使うのか。

どこから手を付けるのか。

どの情報が重要なのか。

それらを自分自身で判断しなければなりません。

私は、その「考える」という作業に慣れていませんでした。

だから、「まだ理解不足だから解けない」と思い込み、インプットを続けていたのです。

でも本当は、理解不足ではなく、「考える練習」が不足していました。

変わり始めたのは、答えを見ながらでも過去問に触れたことだった

転機になったのは、「解けなくてもいいから過去問に触れよう」と考え方を変えたことでした。

最初は、本当にひどい状態でした。

  • 答えを見る
  • 解説を読む
  • そのまま書き写す

「こんな勉強に意味があるのだろうか」と思いながら進めていました。

それでも続けていると、少しずつ見える景色が変わってきました。

  • よく出題される論点
  • 問題ごとの典型的な流れ
  • 時間配分の考え方
  • 部分点を積み重ねる意識

そして何より、「答え」ではなく、「答えにたどり着くまでの考え方」を少しずつ意識できるようになりました。

以前の私は、「解けるようになってから過去問をやろう」と考えていました。

しかし実際には、その順番ではありませんでした。

過去問に触れるからこそ、「解けるようになるために何が足りないのか」が見えてくる。

今は、そのように考えています。

問題を「実在する企業」として考えるようになった

もう一つ、以前と大きく変わったことがあります。

それは、問題文を「ただの試験問題」として読まなくなったことです。

今は、問題の中に登場する企業を、実在する会社だと思いながら読むようにしています。

例えば、

  • この会社では、どのような取引が行われたのだろう。
  • なぜ、この会計処理が必要になるのだろう。
  • この数字が動く背景には、どのような経営活動があるのだろう。

そのように考えながら問題を読むと、単なる数字の計算ではなく、「企業で起きている出来事」をイメージできるようになりました。

もちろん、まだ難しい問題はたくさんあります。

それでも以前より、「何を問われているのか」が見えやすくなったように感じています。

これは、インプットだけを続けていた頃には得られなかった感覚でした。

宅建や中小企業診断士でも、同じ失敗をしていた

簿記1級の勉強を振り返っていて、もう一つ気づいたことがあります。

それは、この失敗は簿記1級だけではなかったということです。

宅建でも、中小企業診断士でも、私は長い間インプット中心の学習を続けていました。

  • 動画を見る。
  • テキストを読む。
  • 理解する。

もちろん、それらは大切な学習です。

しかし、本試験で求められるのは、「知識があること」ではなく、「知識を使って答えを導くこと」でした。

私は長い間、その違いを十分に理解できていなかったのだと思います。

だから今は、どの資格でも「解けなくても問題演習に触れること」を以前より重視しています。

問題を解くことで、自分に足りない知識や考え方が見えてくるからです。

最近では、「知識を覚えること」よりも、「知識を実際に使うこと」の重要性を強く感じています。そのきっかけになった出来事については、こちらの記事でも紹介しています。
中小企業診断士の勉強は実務で役立つ?商工会議所の勉強会で実感したこと

社会人ほど、「何を学ぶか」より「どう学ぶか」が重要だった

私はフルタイムで働きながら、3人の子どもを育てています。

そのため、勉強時間にはどうしても限りがあります。

だからこそ感じたのは、社会人ほど「何を学ぶか」だけでなく、「どう学ぶか」が重要だということです。

インプットだけを続けていると、「今日は勉強した」という満足感は得られます。

しかし、試験本番で必要なのは、限られた時間の中で知識を使い、答えを導き出す力です。

その力は、テキストを読むだけではなかなか身につきません。

一方で、過去問に取り組めば、自分に足りない部分が明確になります。

その意味では、遠回りに見えた問題演習こそが、私にとっては一番の近道だったのかもしれません。

私は以前、「結果を出すには特別な勉強法が必要なのではないか」と考えていました。しかし今は、少しずつ積み重ねることこそが、一番の近道だと感じています。

詳しくは、こちらの記事でも紹介しています。
小さな積み重ねでしか、大きな目標には届かないと思った話

まとめ|インプットとアウトプットは、別の技術だった

以前の私は、「知識を増やせば、自然と問題も解けるようになる」と思っていました。

しかし実際には、そうではありませんでした。

インプットで身につく力と、アウトプットで身につく力は、別の技術だったのです。

知識を覚えることと、その知識を使って答えを導くことは、まったく違います。

私は長い間、その違いを理解できていませんでした。

もし、過去の自分に一つだけアドバイスできるなら、こう伝えたいと思います。

「解けなくてもいいから、もっと早く過去問に触れた方がいい。」

今でも、簿記1級の勉強は続けています。

決して順調とは言えませんし、難しいと感じる問題もたくさんあります。

それでも以前と違うのは、「解けないこと」を怖がらなくなったことです。

過去問は、自分の実力を否定するものではありません。

今の自分に足りないものを教えてくれる教材です。

だから今は、解けなくても過去問を開くようにしています。

遠回りに思えたアウトプットこそ、当時の私に一番必要だった勉強だったのです。

問題を解くことも、文章を書くことも、「自分で考えて形にする」という点ではよく似ています。ブログを書きながら感じた学びについては、こちらの記事でも紹介しています。
書くことで考えは整理される|ブログと事業計画書に共通する「伝える力」